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青森商工会議所創立120周年記念事業────青森地域5大学と連携協定締結

「第1回青森地域産学連携懇談会」

産業界と大学 産学連携で課題克服

連携の進め方について熱い論議を交わした「第1回青森地域産学連携懇談会」=アラスカ

 

まちなかを学術・文化の拠点に

 「大学が蓄積する学術的な知識を地域活性化に生かしたい」「産業界が抱える課題解決に大学の知恵を貸してほしい」—。青森商工会議所(林光男会頭)は7月2日、弘前大、県立保健大、青森公立大、青森大、青森中央学院大の5大学と産学連携協定を締結した。青森市のアラスカで開催となった締結後の「第1回青森地域産学連携懇談会」には関係者約70人が出席、今後の連携の進め方について意見交換した。協定調印直後の冷めやらぬ余韻をそのまま持ち込んだ懇談会は、大学側と産業界が互いに期待感を表明。双方ともに「早期に具体的な成果を上げよう」という意気込みがあふれ、熱い論議を交わした。今後、大学との共同研究や中心街での「まちなかキャンパス」開催などを通して、地域活性化に向けたさまざまな取り組みを強化していく。

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 懇談会の冒頭、林会頭が「協定締結を機に会議所と5大学が一層の連携を図り、諸課題の克服にスピード感を持って取り組む」とあいさつ、並々ならぬ決意を改めて披歴した。大学と連携するテーマは(1)地域産業の振興(2)中心市街地活性化などを含む地域活性化(3)健康福祉の増進(4)人材の育成—など5分野。懇談会では連携の具体的な中身について踏み込んだ意見・提言が相次いだ。

 青森公立大・香取薫学長は「公立大はアウガで公開講座・まちなかラボを実施している。昨年は6シリーズ全51回に及び、中小企業診断士の資格を持つ研究員が経営相談にも応じている。内容をさらに充実させたい」と話し、まちなかを学術・文化の拠点づくりとする構想に賛意を示し、一層の協力を約束。これに対し、会議所側は加藤博街づくり推進委員長が「中心市街地活性化に向け、大学のノウハウを活かしてもらいたい」と話した。

健康・福祉分野の関連製品開発に期待

 成長産業と目される健康福祉の分野でも連携への期待は大きい。青森商工会議所は今年、部会・委員会の再編成に伴い、「健康福祉衛生部会」を新設した。岡島秀雄部会長は「時代の要請に対応する態勢を整えた。部会と大学による研究成果を社会へ還元させたい」と発言。健康・食品の分野で県内企業と協力し研究開発を実践している県立保健大学・リボウィッツよし子学長は「アピオスなど地域食資源を活かした健康食品やスポーツ選手のサポーター用装具の製品化などに取り組んでいるが、マーケティングの面で弱いところがある」と語り、産業界からの協力を求めた。

 青森中央学院大・花田勝美学長は、学生・留学生がタイ産のマンゴーの生産・販売を通して国際物流の仕組みや接客を学んだ実例を紹介。「本学は留学生が多い。留学生の活用は、グローバリズム時代の要請に応え地場産業の国際化につながる」と強調。産業界に対し、留学生の支援・協力態勢を訴えた。

 弘前大を中心に産学官連携で進められているプロテオグリカン(サケの軟骨から抽出した新素材)を使った健康・美容関連の製品開発研究にも熱い視線が注がれた。

 会議所業務流通商業部会・小田桐健藏部会長は「弘前大学と県との共同研究により、プロテオグリカンの商品化・出荷量が倍増している。今後は医療分野を含めさらなる研究開発を期待したい」と話した。弘大・佐藤敬学長は「地元企業と関係を深め、研究成果を社会還元するのが大学の大きな役目。プロテオグリカン研究もその一つ。研究をさらに進め、新たな製品開発に貢献したい」と話した。


連携協定書に署名する林会頭と
5大学の学長=アラスカ

 青森大・崎谷康文学長は「6割が地元出身の学生。地域に根差した大学であり、地域との連携を第一に考えている。地域貢献センターを設立したのもそうした理念の表れ」と語り、連携協定への意気込みを表明した。

 今年10月に創立120周年を迎える青森商工会議所は、「地域課題に迅速かつ適切に対応し活力ある個性豊かな地域社会の形成と発展に寄与する」ことを目的に、記念事業として大学の「知」を活用することに着目。2つの研究所などの青森キャンパスを開設している弘前大学を含む青森地域5大学との連携協定締結を模索、協議を進めてきた。

 県は平成23年度から産学官連携による「イノべーション・ネットワークあおもり」の構築を推進している。青森商工会議所が進めた今回の大学との連携協定締結は、産業界が行政の試みに呼応し、より一層の産学官連携の契機となる。

 林会頭は「大学の知恵を借りながら、連携事業を実りあるものにし、新事業・新産業の創出等につなげたい」と期待を込めた。