「だし」の魅力発信と普及に日々奔走。厳選素材だしで味わうそば店が人気

青い森セントラルパーク近く、午砲台公園正面にある三角屋根が目印の「SOBA cafe 雅」に行けば、厳選素材「だし」で味わう自家製そばが食べられる。「だしソムリエ」(「だし」を知り、味がわかり、料理に生かせる専門家)の資格を持つ奥村さんがだし文化の魅力発信と普及を目指して起業した会社代表を務める傍ら、だしソムリエ活動を広める店として２０１８年夏にオープンした。カウンターとテーブルの１８席用意した店内は洗練されたカフェの趣。「女性一人でも来店しやすいような店を目指しました」。

定番のそば、うどんのほか、だしを使った季節料理が味わえる。一日15食限定の「MIYABIセット」(そば、うどん、ごはん、揚げ物等の小鉢などがつく)は人気メニュー。そばつゆは「さば節」と「むろあじ節」を用意。好きなほうを楽しめる。「一番、味わってもらいたいのはだし」という言葉通り、料理の前に味付けされていないだしが運ばれてくる。「『天然だし』なのでお子さんにも安心して飲んでもらえますし、味覚をはぐくむ効果もあります」。

実家のそば屋で修業。だしに関する知識を両親から教わった。だし専門家の道を究めようと、２０１２年に資格を取得、県内初の「だしソムリエ」が誕生した。その後、全国でも数少ない「だしソムリエ協会」(東京都)認定講師(全国第１号)として、だしの定義や基礎知識を教える講座を県内各地で数多く開いているほか地元テレビ局への出演も多い。

県が提唱している「だしのうま味を活かして美味しく減塩青森県だし活！健活！減塩推進事業」にも携わっている。「本県は全国一の短命県。だしのうま味を生かせば塩分控え目の薄味食材もおいしく食べられます。短命県返上に一役買いたい」。

「だしソムリエ」は現在、県内に三百人以上いる。１６年にはソムリエ仲間で活動をサポートし合う地方組織「あおもりだしStyle」を全国に先駆けて設立した。「活動の裾野が広がっています。仲間には地域の担い手として活躍されている方もいて活動の大きな原動力」と話す。

「だし」を知れば知るほど「だし」の奥深さに突き当たる。探求心はつきない。「料理の基礎は『だし』。県内には豊かな食材があり、これら海山の食材を使った青森発『県産だし』の魅力を県内外はもとより世界へ発信したい」―。最後に力強く、そう語った表情は輝いていた。