〜青森で初の開催〜 第73回全国商工会議所専務理事・事務局長会議
全国の組織で直面する課題を共有、克服へー
テーマ「地方創生を実現する商工会議所の機能強化について」
「全国商工会議所専務理事・事務局長会議」が5月16、17日の2日間、青森市のホテル青森で開催された。日本商工会議所と地域の商工会議所が毎年、持ち回りで開催しているもので、73回目となる今回は初めて青森市で開催。全国292商工会議所から事務局トップら約350人が集まり、「地方創生を実現する商工会議所の機能強化について」をテーマに、地域が抱える課題や対応、商工会議所の運営などについて意見を交わした。
初日は冒頭で、開催地を代表して葛西崇青森商工会議所専務理事が「少子高齢化による人口減少が急速に進行し、地域経済の縮小が懸念されています。地域のさまざまな課題の解決に向けて全国の商工会議所が力を合わせ、知恵を絞り、有益かつ活発な議論がなされることを期待します」とあいさつした。
続いて石田徹日本商工会議所専務理事があいさつと基調講演、価値総合研究所の山崎清執行役員・主席研究員が「人口減少時代における地域経済活性化の方策」と題して講演した。
石田専務は「平成の最初に520万あった事業所が今、360万に減っている。とりわけ、直近の2年間で23万もの中小企業者が減っており、人口減少社会や東京一極集中という構造的課題解決に一刻も早く取り組む必要がある。地域の経営者に寄り添い、変化の波を新たな成長へとつなげていく動きを後押しするのが日本商工会議所の使命。令和の時代になっても喫緊の課題に精力的に取り組んでいく」と語った。山崎氏は「地域のコアとなる産業の構築とそれに伴う関連事業の推進が経済の循環に繋がる。地域産業の長所を伸ばし短所を補う。地元企業を育てることが地域経済に好循環を生むカギとなる。地域経済の発展に逆転ホームランはない。地道にポテンヒットを繰り返すことが大切」と話した。山崎氏は岡山県倉敷市や帯広市の産業構造を事例に挙げ、持論を展開した。
この後、各商工会議所管内商工業者数に応じてグループ編成された規模別商工会議所専務理事・事務局長懇談会が開かれ、各グループの中から複数の商工会議所専務理事が事例発表を行った。
2日目は全体会議が開かれ、前日行われた規模別商工会議所専務理事・事務局長懇談会の結果概要報告がなされ、それを受け、久貝卓日本商工会議所常務理事が総括、石田専務理事が全体統括した。
この日は特別企画として、県企画政策部世界文化遺産登録推進室の岡田康博室長が「世界をめざすJOMON」と題して記念講演した。岡田氏は「北海道・北東北の縄文遺跡群」が2019年度の日本の文化遺産推薦候補に決まったことを受け、「世界遺産への推薦を巡っては、5年連続で候補の選に漏れるなど長い道のりだった。世界遺産登録へ向けて遺跡群の保存・管理体制の確立を急ぎ、誇れる『縄文』世界を国内外に発信していきたい」と力強く語った。
会議の最後に、次回は広島市で開催されることが報告され、谷村武士広島商工会議所専務理事が「来年は広島で会いましょう」と述べ、開催地・広島の観光名所などを紹介した。
交流懇親会とエクスカーション
16日夜はホテル青森で交流懇親会が開かれた。
あいさつで若井敬一郎青森商工会議所会頭が「ようこそ青森へ。当市はインバウンドが好調で観光客のニーズが体験型にシフトしている中、本県の優位性である自然、文化、食を生かし、交流人口と消費拡大に向けた事業を積極的に展開しています。当所は昨年7月、青森駅前に新しい会館を完成させました。このことは、中心市街地の活性化に向けた動きに大きなインパクトを与えた出来事だったと自負しています。今、県、青森市、青森商工会議所、JR東日本の四者が連携して青森駅のリニューアルと駅を中心とした魅力あるまちの創出に向けた検討を進めています。生まれ変わる青森駅前が国内外からのお客様を呼び込めるよう魅力あるものになるよう取り組んでいきます。本日は青森の食を楽しまれ、青森の心情に触れていただければ幸いです」と歓迎あいさつ。続いて柏芳郎経済産業省東北経済産業局地域経済部次長、青山祐治副知事、小野寺晃彦青森市長がそれぞれ来賓あいさつした。当所の葛西専務理事の音頭で乾杯した。
会場は華やいだ雰囲気の中、全国から集まった関係者らが料理と地酒を楽しみながら懇親を深めた。
17日は午後からエクスカーションが行われた。参加者らは日帰り・1泊2日で用意された県内6コースを巡り、本県の歴史、自然、文化に触れる体験型観光を楽しんだ。「ねぶたの家ワ・ラッセと三内丸山遺跡コース」では参加者らがねぶた祭の歴史や魅力を体感したほか、長期間にわたって定住生活が営まれていた日本最大級の縄文集落跡を興味深そうに見学していた。
エクスカーションの見学先には青森商工会議所会館も組み込まれ、多くの関係者が見学に訪れていた。